チャットボットの普及が人工知能を強化し、よりよい未来を引き寄せる(書籍出版のお知らせ)

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2015年の段階でソーシャルメディアの利用ユーザー数を超えているメッセージングサービス郡。FacebookメッセンジャーとWhatsAppはそれぞれ10億人、WeChatは8億人、そしてLINE、Skype、Kik、Viberを合計すると約9億人。

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それらは登録ユーザー数ではなく、毎月1度以上利用するアクティブユーザー数であり登録ユーザー数でいうと35億人もの数に及ぶのが、これら世界中で使われているメッセンジャーアプリです(各サービスにおけるユーザーの重複あり)。もはや世界におけるインターネット人口に匹敵する規模であり、それらメッセージングアプリ上では日々億単位のメッセージが交わされています。

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その会話内に企業やブランドに参加してもらうことで、マネタイズを加速させプラットフォームをさらに進化させようと各メッセージングアプリは凌ぎを削っています(Facebookメッセンジャー上ではそのプラットフォーム公開から半年経たずに3万、そしてLINEでは2万ものボットが開発されています)。

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そして、もう一方の目を向けるべき存在がAmazon Echoです。Alexaという音声アシスタントを有しているその筐体は、これまで1600万台を売り上げるAmazonの大ヒット商品となり、向こう4年間で1億1300万台を出荷すると予測されています(そこでの音声ベースでの決済が70億ドルに及ぶとも)。

まだ日本での発売は未定ですが、常時スタンバイされているその音声アシスタントは新しいAmazonの事業の柱になるとされており、1,000名近い人工知能の開発者が投入されているといいます。このヒットにならい、GoogleはGoogleHomeをリリースし、AppleにおいてもSiriを今後のスマートホーム戦略の中心に置くなど、両巨人ともAmazonへの対抗をみせています(最新のアップデートではMacでSiriが使えるようになりました)。

ソーシャルメディアのユーザー数をゆうに超えるメッセージングアプリ内のボット、そして存在感を増す音声によるスマートなアシスタントサービス、いづれもこれからの私たちの生活や消費活動に大きなインパクトをもたらすテクノロジーといえます。

そして、その使い勝手を加速させるエンジンこそAI(人工知能)であり、そのAIを賢くさせるためのデータを集める「チャットボット」の技術が今後、あらゆるブランドのコミュニケーション戦略において重要なものになってくるでしょう。


ITの巨大プラットフォーマー達が普及を目論むチャットボット

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今回筆者が執筆した「チャットボット AIとロボットの進化が変革する未来」ではそのチャットボットの可能性や事例をはじめ、各メッセージングアプリの特徴やボット戦略、そしてAIが十分に備わったデジタルアシスタントがもたらす未来について解説しています。

チャットボットは本来自己学習や対象認識を持たず、AIと区別して「人工無能」と呼ばれるものです。例えば筆者は友人と沖縄のグルメ情報を教えてくれるLINEボットを開発していますが、予め登録したキーワードが入力されたら対応する飲食店情報を返す単純な仕組みです(試してみたい方はこちらからどうぞ)。

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このようにチャットボットは予め決まったやりとりを行なうシンプルなものですが、今や各プラットフォーマーやスタートアップ企業が人工知能を活用できるAPIを公開しており、簡単にチャットボットに対して人工知能の仕組みを導入することができるようになりました(初めての言葉の意味を類推したり、フィードバックによって改善していくなど)。

Facebookが2015年1月に買収したWit.ai、Googleが2016年9月に買収したAPI.aiなどがその代表格といえます。例えばwit.aiはそれまで有料でしたが、Facebookの傘下に入ることで、無料での提供となっています。

また、マイクロソフトの近年における、AI音声アシスタント「コルタナ」を背景としたボット技術への取り組みも無視できません。

その現状を踏まえて今回の書籍では「チャットボット」というキーワード内に人工知能の要素も含めての紹介となっています。その弱いAIを取り入れたテクノロジーがどれほどのインパクトをもたらしうるかを前半から後半にかけて、短期的〜長期的な視点にて説明をしています。


短中長期的なチャットボットの展開について

短期的な視点のメインはメッセージングアプリ内におけるブランドのボット活用です。例えばFacebookメッセンジャーは2016年9月中旬のバージョンアップで、ボット内での支払処理、ボットのWelcomeページ、メッセンジャー上でのブラウズ、クイックリプライ機能の拡充などを実装しました。

これによりやっと実用に耐えうるものになったともいえ、Facebookページを運営している数多くのブランドがボットでの展開を進めていくことでしょう。LINEについても9/29のイベントでついにMessaging APIを正式公開し、ボットのメッセージタイプの拡充、LINEグループ内でのボット利用、そしてPush API(任意のタイミングでユーザーへメッセージ)、Reply API(ユーザーからのメッセージに対して応答メッセージを送信)というボットとして成り立たせるための機能を揃えるに至りました。

LINEがボットを通じてどのようにブランドと人々のコミュニケーションを発生させたいか、以下の動画がわかりやすいと思います。

このように1:1、もしくはグループ内という密なコミュニケーションができるチャット空間で、どのようにエンゲージメントを獲得していくかのノウハウが今後マーケターに強く求められることになるでしょう。

中期的な視点でいうと、パーソナルエージェントとも言える「ユニバーサルボット」の台頭です。今のアプリのように、用途に応じて様々なボットを使い分けるのではなく、どこか一つの優秀なボットアシスタントにより各ブランドのボットは制御されるようになるかもしれません(それはGoogle、Facebook、Amazonなど既存のプラットフォーマーか、はたまたVivなどのスタートアップ企業となるのか…)。

今私たちがそれなしでは生きていけないiOSやAndroidというようなOSが、ボットのマーケットにも登場することは間違いないでしょう。

長期的な視点は、多少SFチックですが、小さい自分が常に近くに浮かびインターネット上はもちろん、現実世界における課題まで解決してくれるイメージです。最近はDJIのMavicDobbyなども現れて現実味を増してきましたよね。そこは著書の最後にまとめておりますので、ぜひご覧になってみてください。


チャットボットが切り開く、AI(人工知能)の可能性

本書では未来予測的な内容や各プラットフォーマーの事例や説明が少しばかり多くなっていますが、最も伝えたいことはチャットボットの普及こそAIの発達を加速させ、そしてチャットボットはAIの可能性を最もダイレクトに感じる事ができるテクノロジーだということです。

IoT、自動運転、VR/AR、FinTechなど世の中を変革するテクノロジーの大波がこれからどんどん訪れますが、AIは全ての土台となりそれらの価値を押し広げます。

これらテクノロジーを加速度的にドライブさせるAIに最も必要なのはあらゆる場所(人やモノ)から生み出される膨大なデータ量です。そこでリアルな人間とコミュニケーションを自動化できるチャットボットこそデータを収集できる、非常に有効なチャネルと言えるでしょう。

まだ黎明期であるチャットボットは、それを日々活用するユーザー数も多くはなく、AIを鍛えるために必要なデータ量には程遠いのが実情です。

正直、既存のチャットボットは使い物にならないものばかりですが、ポジティブなサイクルを生み出すに足りるデータ(ユーザーからのあらゆる反応)に達すればそれこそ加速度的にテクノロジーの進化が進むことでしょう。

ボット同士がリンクされることになるのか、各プラットフォーマーのAIがネットワークされ一つのクラウドのような存在になるのか(ちょうどこのブログを書いている9/29に、その実現に向けた”歴史的な”提携が発表されました)、未来はどうなるかまだわかりませんが、ぜひ本書をご覧いただきチャットボットがもたらすテクノロジーインパクトについてイマジネーションを巡らせてみてください。

テクノロジー業界のスピード感は増すばかりです。本という媒体はブログのように内容を簡単にアップデートできないのが残念ですが、多少なりとも未来を垣間見れる内容かと思いますのでぜひ手にとって頂ければ幸いです。その続きとなるさらにワクワクする未来の内容は、引き続きこのブログにてお伝えしていきたいと思います。

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