もう多くの方がご存知の通り、人々のメディアへの接触時間は近年大きな変革を迎え、2014年の段階でパソコン/スマホ/タブレットの合計接触時間は既にテレビの接触時間を上回っています。
具体的な内容を見ると例えば、”男性は40代まで、女性は30代までの層はインターネットをしている時間のほうがテレビよりも長い”、”20代女性は最も多くの時間メディア接触をしておりそのほとんどインターネット利用”などなど、4マスといわれるこれまでの主な広告媒体(テレビ、雑誌、新聞、ラジオ)だけでは適切な顧客にリーチができなくなっているのは明白です。
これらは2014年の博報堂DYメディアパートナーズの「メディア定点調査」からのデータですが、今となってはさらにその傾向が顕著にみられるでしょう。
さらに米国では2016年についに検索連動型広告(リスティング広告)の市場をディスプレイ広告が上回るといいます。それは決して検索をする人が減っているからというわけではなく(実際その市場も伸びを予測されています)、人々のモバイル、ソーシャルメディア、そして動画の利用が検索行動よりも大きく伸びているからであり、この傾向を見ても人々のインターネットシフト、モバイルシフトは免れないところでしょう。
そのような背景を理解した上でマーケティング戦略を考えるならば、そこではインターネットファーストで考えるべきではないでしょうか。まだテレビ視聴時間の長いシニア層をターゲットにするのであれば話は別ですが、それ以外の50代以下の層に向けてサービスや商品を提供していくのであればWEBを中心にした戦略策定がもはや基本になってます。
そこで今回はこれからWEBマーケティングをどのように行っていけばいいか考えている方に向けて、それぞれの顧客属性にあわせた最適なWEBマーケティング施策をご紹介いたします。
WEBマーケティングと言っても多様な種類がありますので、ここではお客様の購買フェーズ、つまりマーケティングファネルにあわせた施策をみていきたいと思います。
各フェーズを元に構成した上記マーケティングファネルをみてもわかるとおり通常、企業のマーケティングではそのターゲットとなるお客様は購入に至るにつれ徐々にその対象が絞り込まれていきます。そのマーケティングにおける顧客フェーズを漏斗(ろうと)に例えることをマーケティングファネルと呼びます。このファネルにおけるそれぞれの顧客フェーズにあわせた施策を適切に行ない、効果測定、改善をおこなっていくことがWEBマーケティングの王道と言えるでしょう。
それでは以下に各フェーズごとに行なうべき10のWEBマーケティング手段をみていきましょう。
1.潜在顧客の認知を得る第一フェーズ
ファネルの入り口となるのがこの認知獲得のフェーズです。当たり前ですが、あなたのサービスや商品、またその市場のことを認知してもらわないと購入や申し込みをしてもらうには至りません。このフェーズでは潜在顧客に対してその存在を知ってもらうマーケティング施策を行っていきましょう。
純広告

あなたの商材のターゲットとなる人々が普段みるであろうWEBサイトやアプリ上で商品の宣伝をしてもらう最も昔からあるWEBの広告手法です。「10万回のバナー広告表示で30万円」「1クリックあたり50円」というようなPV、またクリックに基づく課金体系から、最近では記事広告と言われPRコンテンツを媒体側に制作してもらうことで、より商品魅力を潜在顧客に深く伝える広告手法も増えています。
この後ご紹介するアドネットワーク広告と違い、課金体系や掲載規約が予め明確に決まっているもので、もし相性がバツグンにあうWEBサイトがあればぜひ直接交渉を行なうことで掲載をしてもらうのをオススメします。上記画像は日本でもっとも有名な純広告枠であるYahoo!JAPANのブランドパネルという広告枠です。最低出稿金額は850万円~となっており大手企業向けの広告と言えるでしょう。。
アドネットワーク広告

Googleディスプレイネットワーク(GDN)、Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)などに代表される広告で、これらのアドネットワークに加盟している多くのWEBサイトやアプリに対して一括で広告を配信することができます。純広告と違ってどの媒体に広告が配信されるかを管理することはできませんが、広告を掲載したいサイトのジャンルを選定することで自社の商品と相性のいい見込み顧客へリーチすることができます。
日々インターネット上で接しているバナー広告はほぼこのアドネットワークを通して配信されていると言ってもいいでしょう。あれは入札制で表示されており、高いクリック単価、インプレッション単価を設定している広告主から優先的に表示されるようになっています。
また合わせて押さえておきたいツールとして「DSP広告」というものがあります。これは複数あるアドネットワークをさらにとりまとめて一括配信するもので、さらに多くの媒体に出稿することができます。さらにこの配信は各種サイトに対してではなく「どんな属性の人か?」と、その広告を見ている人を選定して認知を促すことができます。「ファッションサイトばかり見ている男性」「自社のサービスに申し込んだ利用者と同じ属性の人」など、潜在顧客となり得る人に対してリーチをしていけるのがDSP広告です、こちらも覚えておいて損はないでしょう。
ソーシャルメディア広告

ここ数年でWEBマーケティングの主流にまで踊りでたのがこのソーシャルメディア広告です。みなさまご存知、Facebook、Twitter、InstagramなどのSNSに対して広告を配信することでサービスの認知を促す手法です。これらの最大の特徴は自分で簡単に出稿し運用することができる、という点でしょう。
アドネットワーク広告や純広告は基本的には広告代理店にお願いをする必要がありますが、ソーシャルメディアに広告を出稿する際にはお手持ちのPCから簡単に広告を配信することができます。現状、主な出稿先は上記3つのみですがどれも配信ターゲットをとても細かく設定することができます。性別、年齢はもちろん、居住地、趣味嗜好、学歴、フォローしているアカウントなどなど。運用のPDCAを繰り返しながら、ハマる広告クリエイティブを見つけることができれば大きな成果も期待でき、アプリの市場も大きく中でこれからどんどん伸びていくであろう広告手法です。
Facebook広告の詳細はこちら(InstagramもFacebookの管理画面から出稿が可能です。)
Twitter広告の詳細はこちら
2.興味関心をもってもらったユーザーと繋がる第二フェーズ
あなたの商品やサービスの存在を知らない、また”そういったジャンルがある”という認識をもたない潜在顧客に対して第一フェーズでアプローチすることができたら、今度はその見込み顧客に改めて見つけてもらい、そして好きになってもらう必要があります。購入までは考えていないが、興味がある程度の見込み顧客との関係性を強化していくための施策をご紹介します。
リスティング広告
別名、検索連動型広告とも呼ばれWEBマーケティングの中でも最も基本となり、かつ適切に運用すれば最も高い効果も期待できる広告手法です。GoogleやYahoo!で検索をした時に優先的に上位表示させることができることができ、第一フェーズでサービスを認知した見込み顧客が検索をした際に効果的に自社サイトへ誘導することができます。
見込み顧客が検索するであろうキーワードを予め設定しておくことで、そのキーワードで検索をした際に広告を表示することができます。”検索”という能動的なアクションをした後に広告を表示できるので、適切な広告文と着地ページ、そしてキーワード選定を行えばどのWEBマーケティング手段よりも費用対効果の高い成果を出すことができます。
またクリック課金となりますので表示は無料ですが、キーワードによってその課金単価が全然違いますのであなたのビジネスモデルに見合うキーワード選定がリスティング広告では重要となるでしょう。
SEO(検索エンジン最適化)
サーチエンジンオプティマイゼーションの略であるSEO、一度はその名前を聞いたことはあるでしょう。任意のキーワードにおける検索結果で任意のサイトの掲載順位をあげるための方法です。一番のポイントは、このSEOを上手く行えば広告と異なり、アクセスを獲得することに直接的な費用がかからず、かつ長期的な見込み顧客の流入が見込めるという点でしょう。
あなたが素晴らしいコーヒー豆を適切な価格でネット販売しており、かつ「コーヒー豆 通販」というキーワードでサイトが1位に表示されているのであれば、それだけで日々多くの注文が入ることでしょう。(もちろん最低限のサイトデザイン、コンテンツが求められますが)
ビジネスを効果的に進めていくためにも絶対に無視できないSEO、掲載順位はサイト構造の最適化と適切なキーワードに基づいたコンテンツ、その更新性、ユーザー体験の最大化など様々な要素によって決まってきます。SEOとは実質、”Googleにどう評価されるか”ということに言い換えられますが(Yahoo!もGoogleのエンジンを使っているため)、Googleは「そのキーワードで検索した人にとって有益な情報かどうか?」を評価しています。その視点をぶらさずお客様にとって最適なコンテンツ更新を心がけるのが長いようで最も近道な方法でしょう。
コンテンツ
アドネットワークやソーシャルメディアによる広告で認知してもらい、リスティングやSEOでサイトに来てもらった後に顧客へ転換(コンバージョン)させるにはその見込み顧客に価値のある情報やサービスを提供する必要があります。
そこで重要になってくるのが”コンテンツ”です。コンテンツマーケティングという言葉もありますが、要は見込み顧客にあなたのことを”好きになってもらう”ための手段でありそれはブログ、動画、写真、PDF資料、アプリなどなど様々なフォーマットがあります。特にその中でもブログがコンテンツとして最も多様されており、様々な環境で閲覧が可能という点と制作が簡単な点、そして最も大きな理由として上記にも述べたとおりSEOとしても効果的というのが理由として上げられます。
潜在顧客に購入というアクションを起こしてもらうためにも、有益なコンテンツを通してコミュニケーションをとることを考えてみましょう。
ソーシャルメディア運用
こちらもコンシューマーをターゲットとする企業では今や必須となるマーケティング手法です。Facebookページ、Twitter、Instagramなどの公式アカウントを開設するのが一般的ですが、最も大きなメリットとしてお客様と”繋がれる”という点が挙げられます。
SEOを施し、いくら素晴らしいWEBサイトやコンテンツを作っても、情報を伝えるにはそこに来訪してもらう必要がありますが、ソーシャルメディアを活用すれば日々の生活の中で常にお客様との接点をもつことができコミュニケーションを行なう事ができます。(こちらの記事でも述べているとおり人々はソーシャルメディア上で多くの時間を費やしています。)
365日繋がることのできるこのメディアを活用し、ぜひ見込み顧客に対してサービスのストーリーやその想い、そして既存のお客様の声を伝えていきましょう。有益なコンテンツとあわせて情報を発信したり、やりとりを行なうことでファネルのさらに深い層へお客様を推し進めることができます。
また常時繋がることでお客様の第一想起を獲得することにも繋がりますので、WEB上での購入や申し込みを前提としない小売や飲食店でも活用していきたいツールです。
3.検討しているお客様に決断をしてもらう第三フェーズ
検索や繋がりを通じて簡単に情報を得ることができる時代、どのようなサービスや商品も(BtoB向けの商材なら必ず)今や比較検討され、どこで購入をするのが最も最適なのか?と徹底的に調べられます。
プロシューマーとも言われるようにもはや一般の人々がその業界に属している人よりも詳しくなることができる世の中、そんな状況を第二フェーズで勝ち抜き、お客様に選んでもらえる状況になっても最終的なコンバージョン(成果)を達成できなければビジネスとして成り立ちません。この第三フェーズでは”顧客”へと転換させるためのポイントをご紹介します。
LPO(着地ページ最適化)
サービスの存在を認知してもらった後、検索などでWEBサイトに訪れた方にスムーズに申し込みまで進んでもらうための「着地ページの最適化」をLPOをといいます。
例えばキャッチコピーとメインビジュアルの組み合わせを複数テストして、どちらが効果が高いかをテストしたり、その訴求方法を流入元となる広告によって変えたりするなど、起こして欲しいアクションを最大化するための施策がLPOです。
既存顧客の声、これまでの実績、商品写真、メリット、FAQ、わかりやすいフォームなど、購入を検討しているお客様の背中を押すための情報を用意しましょう。せっかくお金、時間、労力を使って見込み顧客をサイトに誘導しても、申し込みページが悪いとお客様は離脱してしまいます。Googleアナリティクスなどの解析ツールを使ってユーザーの行動をみていきながら着地ページ、また申し込みフォーム最適化をおこなっていきましょう。
WEB接客
ここ最近から数多くのオンラインサービスで、購入率を上げるために導入され始めているのがこのWEB接客ツールです。各チャネルに応じたLPOも行なうべきなのですが、今やお客様の属性が多様化しており、リアル店舗での接客のようにさらに細かいニーズに対応したオンライン接客が求められています。
たとえば来訪した見込み顧客とリアルタイムチャットができるサービスや、来訪したお客様属性に応じて任意のメッセージやクーポンを配布することができるサービスなど、確実に購入まで至らせるための施策が簡単にできるツールが人気を博しています。
例:
ウェブ接客プラットフォーム「KARTE(カルテ)」
Flipdesk(フリップデスク)- ウェブで接客。コンバージョン率を改善
チャットでオンライン接客ならZopim(ゾピム)
テクノロジーの発達やモバイルの普及によるユーザー属性の多様化によって生まれたこのWEB接客という概念、今後さらに多くのサービスが導入を進めていくでしょう。
メール、LINE、ソーシャルメディアによるリピート施策
各ファネルでの施策がうまくいき、晴れて購入まで至ったお客様に対しての適切なフォローもWEBマーケティングにおける重要な役割です。
商品やサービスの利用経過に応じた最適なメッセージをメールまたはLINEなどを通じて投げかけ、出来る限り既存顧客の満足度を高めていくことは再購入、または知人へ紹介をしてもらうために有効です。(メールは1割、LINEは6割の割合で読まれるといいますので、リピート施策のはじめとしてLINE@を検討してみるのもいいでしょう)
新規のお客さまを獲得する1/5の費用でリピート顧客を獲得することができると言われます。WEBを通じた繋がりや関係性を強化していきながら、アフターフォローをしっかり行なうことはLTV(生涯顧客価値)をあげることにもなり、結果的に大きなビジネスインパクトを生み出すことができるでしょう。メール、LINE、ソーシャルメディアなど繋がりを維持することができファン化させることができるWEBマーケティング施策はとても大切です。
各フェーズに応じた施策、効果測定、改善を繰り返し結果を掴む
以上、認知>興味関心>検討>購入と言ったマーケティングファネルの考え方を前提としながら、各フェーズごとに最適なWEBマーケティングの手段をご紹介しました。このファネルを意識することで、どのフェーズに最も予算を割けば効果が最大化できるのか、どのフェーズへの移行時に最も漏れが出ているのかを考えることができ、予算の最適化を行なうことができます。
高い費用対効果を出していくためにも、まずは興味関心層にアプローチできるリスティング広告やLPOがはじめに取り組むべき手段です。そこから見えてくる数字を踏まえつつも、お客様の立場にたち有益な情報を提供していけるよう心がけましょう。
またWEBマーケティングの最大の特徴は「効果測定ができること」です。それぞれの施策をやって終わりではなく、その効果を踏まえて改善を素早く行えることがこれまでのマーケティングと違う、WEBマーケティングの一番のメリットです。
どのサイトから、どんなユーザーが訪問しどのような行動をしているのか、そしてどのくらいのビジネスインパクトをもたらしているのか。Googleアナリティクスでこれらのデータを確認することが出来るので、何か施策を行なう際はこれらの数字を元にしていきながら次に行なうべき施策を考えていきましょう。離脱の多いページを改善したり、購入客を多くもたらすサイトへの露出を強めたりなど、PDCAを意識していきながら地道な改善を積み重ねていくことがWEBマーケティング成功の基本です。
弊社ではお客様の課題に応じた適切なマーケティング手段を見極め、その運用方法からコミュニケーションメッセージまでを設計・実行いたします。また、ECプラットフォームにて20万近いネットショップから得たノウハウを活かし、ビジネスの成長に貢献いたします。お問い合わせはこちら( haisai@okinawa.io )まで。
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